おさびし山のホームメードケーキ
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カステラについて
カステラって、洋菓子なんでしょうか、和菓子なんでしょうか。材料はあきらかに洋菓子なんですが、食感といい全体の雰囲気は和菓子という感じがします。
そのルーツはヨーロッパで、南蛮貿易が盛んになった16世紀終わりごろにポルトガル人によってもたらされたようですが、その後独自の進化を遂げて、現在のようなカステラになったのです。そういった意味では、もう和菓子といってもいいような気もしますが。今回はそんなカステラについて、ご紹介します。

カステラのもとになったのは、15世紀から16世紀ぐらいに今のスペインで生まれたビスコチョと呼ばれるお菓子です。最初は今の乾パンのような保存食だったのですが、16世紀後半に卵を泡立てるという画期的な技術がカスティリア地方(イベリア半島の中央部にある高地)で生まれ、それによってふっくらとした生地のビスコチョが焼かれるようになったのです。
材料は、小麦粉と砂糖と卵。バターはないですが、今のスポンジケーキと変わらないですね。実はスポンジケーキのルーツもこのビスコチョで、カステラとは親戚にあたるわけです。
ふっくらとした生地のお菓子はイタリアに伝わり、そこではパネ・ディ・スパーニャ(スペインのパン)と呼ばれましたが、それがフランスに伝わったときにはジェノワーズと呼ばれ、イタリアのジェノヴァ発祥のお菓子とされ、現代に至っています(詳しくはこちら)。
関係ないですが、唐いも,琉球いも,薩摩いもと、伝わる土地にそって名前が変わっていったサツマイモと通じるところがありますね。

そんなビスコチョが、南蛮貿易のポルトガル人によって長崎にもたらされたのが、16世紀の終わりごろと言われています。生まれてからあまり時間がたたずに伝わっているわけで、当時の日本にも意外と先端技術が伝わっていたのかもと、驚かされます。
カステラの名前の由来ですが、ビスコチョの生まれたカスティリア地方で作られたお菓子ということで、カスティリアとよばれたものが、のちになまってカステラとなったといわれています。

1624年にそのカステラの製法をポルトガル人から伝授されたのが、長崎の福砂屋初代店主で、当時は砂糖などの貿易をおもに行っていたようです。その後1681年に松翁軒がカステラの販売を開始。明治に創業した文明堂とあわせて、今や長崎カステラの御三家になっています。

このようにオーブンのない時代から、職人たちはいろいろ工夫を重ねて、カステラを独自に発展させてきました。江戸時代は、材料を銅なべに入れ、それをさらに大なべに入れて、下から火を炊くのと同時にふたの上にも炭火をのせて、上下両方から焼くようにしていました。
また焼いている途中に、生地の表面に浮かび上がってくる泡をとって均等にならす泡切りという工程を何度か行い、必要以上にふくらませず、細かい気泡を均等に含むしっとりとした生地になるような工夫がされています。
さらに材料の比率も工夫し、水あめをいれるなど、しっとり、どっしりしたその食感は、世界的に見ても独自のユニークな進化をしたお菓子といえるのではないでしょうか。

 

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