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寒天とゼラチン(1)
夏のお菓子といえば、見た目も涼しいゼリーやあんみつが人気です。あの透明感とヒヤッとした感触が暑さを和らげてくれます。そんな透明なお菓子を作るのに欠かせないのが、ダイエットで人気の寒天や、ゼリーのもとゼラチンです。見た目は似ていますが、どこが違うのでしょうか。そこで寒天とゼラチンについて、簡単にご紹介しましょう。まずは寒天についてです。

テレビでダイエットによいといわれてから、品薄状態の寒天ですが、その歴史は古く、奈良時代には食用にされていて、大宝律令(701年)にも名前が出てきます。もっとも当時は寒天ではなく、原料のテングサを煮て寒天質をとりだし、冷やし固めた、いわゆるトコロテンのようなものとして食べられていました。テングサとは紅藻類のマクサ,ヒラクサなどの海草の総称で、トコロテングサが省略されて、テングサと呼ばれるようになったのです。テングサは本州沿岸で多く取れますが、静岡,千葉,和歌山,高知などがおもな産地で、5〜7月に多く収穫されます。

寒天が作られるようになったのは、江戸時代です。一説には17世紀中ごろに、薩摩藩主島津公が参勤交代のときに泊まった伏見で、宿の主人が冬にもかかわらずトコロテンを出し、残りを戸外に数日間置いておいたところ、自然に凍結,解凍を繰り返して乾燥し、それを再度煮てみるととてもきれいなトコロテンができたのが始まりとか。天然のフリーズドライといったところでしょうか。これを食べた隠元和尚が寒天と名づけたとも言われます。18世紀後半には大阪で伏見の製法にならって大規模な生産が始まり、19世紀に入ると信州の諏訪で盛んに作られるようになり、今に至ります。
このように寒天の製法は偶然発見されたようですが、基本的には今でも大きく変わりません。天然寒天は、まず乾燥させた数種類のテングサをまぜ、水で戻して煮溶かして寒天質を抽出し、さらにろ過します。これを冷ますとゲル化して、いわゆるトコロテンになります。これを棒状あるいはひも状に切って、冬に屋外に置きます。夜は-5〜-10℃で自然凍結させ、昼は5〜15℃で自然解凍させると、凍結時に水分が凍って寒天質から分かれ、溶けるときに不純物とともに流れ落ちます。これを10日ほど繰り返すことで寒天の純度が上がり、最後に風で乾燥させればできあがりです。寒天のおもな生産地は長野の諏訪と岐阜の東濃地方ですが、寒さの厳しい諏訪では棒寒天(角寒天)が、比較的暖かい岐阜では糸寒天が作られています。
天然寒天のほかに、凍結,解凍を人工的に行って作る工業寒天があり、いわゆる粉寒天は人工的に作られます。天然寒天は純度は低いが粘度は高く、逆に工業寒天は純度は高いが粘度は低いという特徴があります。

寒天のおもな成分は糖質で、粘質多糖類といわれるアガロースとアガロペクチンが7:3の割合で含まれています。これらは食物繊維として有用で、腸の中のお掃除をしてくれます。ゼリー状になるのは、これらの多糖類が網目構造を作り、その中に水分を囲い込むためと考えられています。
寒天は加熱すると水に溶ける性質がありますが、ゼラチンと違って沸騰させても問題ありません。さらに濃度が高いほど溶け出す温度も高く、常温でも固まったままです。そのためオードブルなどにも使えます。ただし酸には弱く、果汁など酸味のあるものを加えるときは、寒天濃い目に作らないと、固まりにくくなるので注意が必要です。
カロリー0で体にもよい寒天。手に入りにくくなっていますが、ぜひいろいろ使いたい食品のひとつですね。

 

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