おさびし山のホームメードケーキ
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バニラの香りのお話
ケーキのおいしさは、味だけではなく香りも大切な要素です。そして欠かせないのが、甘いバニラの香り。思わず食欲をそそられます。今回はそんなバニラについてご紹介します。

バニラはランの一種で、なんと110種類もあります。
もともとは中米(今のメキシコ)に住むアステカ人が、チョコラトルというカカオを水で溶く飲み物(詳しくはこちら)の香り付けに使っていたのを、16世紀にスペインのフェルナンド・コルテスが皇帝からもらって持ち帰りました。ラテン語で小さな豆という意味のバニラと名づけられ、その甘い香りはヨーロッパで大人気となったのです。そのため急激に値が上がり、多くの植物学者がその栽培に挑みましたが、なかなかうまくいかず、フランスはその後300年近く、メキシコで作られるバニラのほとんどを、輸入することになりました。

それというのも、メキシコではバニラの受粉にメリポナという蜂が活躍するのですが、ヨーロッパや当時のフランス領であったアフリカではメリポナの生育ができず、人工授粉もうまくいかなかったからでした。
それを解決したのが、マダガスカル島に近い当時のフランス領ブルボン島(現在のレユニオン島)の奴隷で、12歳のエドモン・アルビウスでした。1822年ごろのことです。バニラの花はわずか4時間しか咲かず、その間に受粉をしなければならないのですが、彼は竹串で花の外側の膜を裂き、中の弁膜を押しておしべをめしべに押し付けるという効果的な受粉方法を発見したのです。この方法により、熟練した職人であれば、半日に1200個の花の受粉ができるようになり、ようやく人工栽培が可能になりました。

さらにバニラは、熟れなければその香りがしないのですが、自然になったままでは、その確率が低いという問題もあります。そこでキュアリングという方法が作り出されました。
レユニオン島では9〜12月に受粉をさせると、翌年の6〜9月(約9ヵ月後)に、20cmぐらいの細長いさや状の緑豆ができますが、これは香りがしません。これを収穫して48時間以内に65℃の湯に3分間つけます。これで中に含まれる酵素が働きだします。それを麻袋にいれて12時間寝かせると、酵素の働きで発酵し黒くやわらかくなります。これを1日3時間日光にあてて乾燥させ、21時間屋内で寝かせるということを2〜3週間繰り返し、さらに半年から1年保存すると、ようやくあの甘い香りのバニラビーンズになるのです。

現在バニラビーンズはマダガスカル周辺やインドネシアで多く作られていますが、気候や政治・経済的な理由によって、生産量の変化が激しく、価格も突然高くなったりと安定しません。実際今お店でバニラビーンズを買おうと思うと、結構な値段がします。そこで多くの方が使うのが、バニラエッセンスなどの香料でしょう。
バニラビーンズは中の小さい種や、皮を細かく刻んで使いますが、バニラエッセンスはその香りの成分をアルコールに抽出して使います。しかし天然のバニラはとてもデリケートで、抽出する時間帯や温度などの条件で、香りが変わってしまいます。
そこで人工的にバニラの香りを作る研究が進んでいます。バニラの香りの主成分は、バニリンという物質ですが、それ以外に微量ずつ含まれるさまざまな成分によって香りが作られていて、人工的に再現するのはとても難しいのです。現在わかっている成分は220種類もあり、それらを組み合わせてバニラの香りを作ろうとしているのです。
バニラエッセンスでもよいですが、たまには天然バニラを使ってみてはいかがでしょうか。その魅力的な甘い香りは、昔のヨーロッパの人々を熱狂させたのもうなずけます。



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