おさびし山のホームメードケーキ
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お酒の基礎知識 醸造酒と蒸留酒

ケーキを作るときに、よく香り付けのためにお酒を使います。それらのお酒についてこれからご紹介していこうと思いますが、まずはその前に、お酒の種類を作り方の違いから、分けてみましょう。

お酒はその作り方から、大きく醸造酒、蒸留酒、そして混成酒に分けられます。
まずは醸造酒ですが、基本的には果物や穀物を微生物によってアルコール発酵させて作るお酒のことです。代表的なものとしては、ワイン、ビール、日本酒、中国酒などがあげられます。
この醸造酒はかなり昔から作られていたと思われますが、いつ誰が作り始めたのかは、もちろんわかりません。以前ご紹介したように、ワインはB.C6000年ごろのシュメール人が最初と言われており、エジプトではB.C3000年ぐらいにブドウの栽培の記録があって、B.C2400〜2300年ごろの壁画には、ワインを醸造する場面が描かれています。(ブドウの基礎知識(1)
またビールは、B.C3000年ぐらいのシュメール人の記録が最古と言われています。(ビールについての雑学(1)
ちなみに、ワインはブドウをしぼって、その果汁や皮、果肉などを発酵させて作ります。ブドウ以外の果物を原料にするものもありますが、それらはフルーツワインなどと呼ばれて、区別されます。またビールは麦芽を発酵させて作られました。

これらの醸造酒は、アルコールのほかに、それぞれの原料に由来するさまざまな不純物が入っており、それらがいろいろな風味を醸し出しています。しかしもっと純度の高いアルコールを飲みたいというニーズに応えてできてきたのが、蒸留酒です。
アルコールは地上では78.3℃で気体になり、水は100℃で気体になります。その差を利用して、醸造酒を温めると、まずアルコールが蒸発して気体になります。それを集めて冷やせば、より純度の高いアルコールを取り出すことができるのです。

この技術は、錬金術師によって偶然発見されたと考えられています。錬金術とは、いろいろなものを混ぜたり熱したり、化学反応を利用して金を作ろうとする試みですが、その試行錯誤の中で、蒸留酒の作り方を見つけたのです。
錬金術師たちは、こうやって作り出した蒸留酒を、ラテン語で「命の水」を意味するAqua-Vitae(アクア・ヴィタエ)と呼びました。

この蒸留酒の作り方は、錬金術とともに世界中に伝わり、それぞれの土地の醸造酒を使って、独特の蒸留酒が作られるようになっていきました。
まずスペインやイタリア、フランスなどでは、ワインを蒸留してブランデーの祖先ともいえるものが作られます。フランス人はこれを「オー・ド・ヴィー(命の水)」と呼び、今でも法律上でブランデーを意味する言葉として残っています。

さらにアイルランドやスコットランドでは、ビールを蒸留して今のウイスキーの元になるお酒が作られるようになります。アイルランドでは、現地語で命の水を意味するUisge-beatha(ウイスゲ・ベーハ)と呼ばれ、これが今のウイスキーの語源になりました。
ちなみにウイスキーの条件とは、(1)穀物を原料(2)蒸留酒(3)樽で熟成 の3つで、スコッチもバーボンも、サントリーのウイスキーも、これらを満たしています。逆に樽で熟成されない焼酎などは、(1)(2)を満たしていますが、ウイスキーとは呼ばれません。

さらにロシアでは、ウオッカを生みます。当初はハチミツの醸造酒を原料としていたようですが、その後ライ麦や大麦、小麦、じゃがいもなどさまざまな穀物を原料として作られるようになります。現在は、穀物原料の蒸留酒を一旦水で薄め、白樺などを焼いた活性炭でろ過して作ります。
ちなみにウオッカとは、ロシア語で命の水を意味する「ジーズナヤ・ヴァダー」のヴァダー(水)が変化したといわれています。

またアジア方面に伝わった蒸留酒の製造法は、イランやインドでアラックというお酒を生み、沖縄で米を原料にした泡盛、さらに日本の九州に伝わって、麦やいもを原料にした焼酎になります。
さらにコロンブス以降、ヨーロッパから南北アメリカ大陸にもたらされ、カリブ海諸国でさとうきびを原料にしたラム、メキシコでリュウゼツランを原料にしたテキーラを生みました。

こうしてみてみると、ひとつの技術が徐々に世界中に広がり、各地の特産物を生かした独特のお酒を生んでいったことがわかります。
さらに名前も共通点があったりして、なかなか興味深いですね。
次回からは、これらのお酒の中で、よくお菓子作りに使われるものを紹介していきます。


 

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