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ライ麦とは
サリンジャーの名作「ライ麦畑でつかまえて」(原題:The Catcher in the Rye)が、村上春樹の訳で「キャッチャー・イン・ザ・ライ」として40年ぶりによみがえったと話題です。
主人公ホールデンの独白というか心の声でつづられた独特の文体も、そしてその内容も、今読んでもまったく違和感無く受け止められるのは、さすがに不朽の名作ゆえでしょうか。

そのタイトルにもなっているライ麦というのは、名前こそ知っているものの、あまり実物にお目にかかることはありません。ライ麦パンというのは聞いたことがあると思いますが、食べたことのある方は、少ないのではないでしょうか。今回は、そんなライ麦についてです。

ライ麦は、読んで字のごとく麦の一種で、特に小麦に大変近い品種です。原産地はロシア南西部のカフカス地方あるいはアフガニスタンと言われています。
寒さに強く高冷地ややせた土地でも栽培可能なこともあって、紀元前3000年〜2500年ごろには栽培が始まり、紀元1世紀までにはデンマークからトルコまでヨーロッパの広い地域で栽培されるようになりました。

現在では特に旧ソ連やドイツで栽培が盛んで、これらの地方では今でもライ麦パン(黒パン)が主流です。
ライ麦は小麦と近いこともあり、おなじように製粉して使いますが、ライ麦粉は小麦粉よりやや黒味を帯びていて、グルテンの含有量が少ないという特徴があります。そのため水でこねても粘り気が出ず、小麦粉のパンのようにはふくらみません。
しかし酸性になると粘り気がでるという性質があるため、乳酸菌をつかって乳酸発酵をさせ、粘り気を増しています。それでもライ麦だけではふくらみが悪いので、小麦粉と混ぜてパンにします。
乳酸発酵をさせるので酸味がでますが、その発酵の程度(1日から、長いと1週間も発酵させます)や混ぜる小麦粉の量などによって、実にさまざまな風味のライ麦パンができます。
ふくらみが悪くて重量感があるため、逆に消化しにくく腹持ちがよいこともあって、ロシアやドイツの農民達には重宝されたようです。ただし現代の日本人にはあまり合わなさそうですね。そんなこともあってか、ライ麦は明治時代に日本に輸入されたもののあまり根付かず、今ではほとんど作られていません。お店で見る機会もあまりないのではないでしょうか。

しかし最近の健康ブームのなかで、健康食品としてライ麦は見直されてきています。良質なタンパク質が小麦粉よりも多く、またビタミンB1,B2や食物繊維も豊富に含まれているのが、その理由です。ちょっと黒くて酸味の利いたライ麦パン。一度試してみてはいかがでしょうか。
なお酸味があるため、特に塩味のある魚やソーセージ,バター,チーズなどと相性がいいそうです。

 


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